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役員給与の給与所得控除部分の損金不算入措置

「法人成り」という言葉を聞いたことがありますか?文字通り個人事業者が法人(会社)に組織形態を変更することです。個人事業者・法人事業者にはそれぞれメリット・デメリットがあり一概にどちらのほうが良いかという判断はできませんが、税金のことだけを考えると日本という国は儲ければ儲けるほど所得税率が高くなる「累進課税制度」をとっているので、儲け(利益)の金額がある程度高くなると税率に上限(30%)のある法人にしたほうがお得だということになります。

そのほかにもお得なことがあります。事業者は税金をできるだけ少なくするために経費を多く計上しようとします。しかし事業に関係のある費用は限られていますし、毎年の経費の金額はそんなに大幅に変動するものでもありません。ならば社長自身の給与を増加させることを考えますが、個人事業主への給与の支払は経費として認められていません。そこで個人を法人にして役員報酬として事業主自身が会社から給与を頂戴する(いただく)ことを考えます。

事業所得を100、給与の金額を30とすると
A.個人の場合→事業所得 100 給与所得 0
B.法人の場合→事業所得 70 給与所得 30

A・Bそれぞれの全体の所得の合計額は100となるので所得に大差は無いように見えます。しかし給与所得については給与所得控除(サラリーマンに対して国が認めた必要経費)が認められているので、Bの場合の実際の全体所得額は100より少なくなることになる。つまり法人になると合法的に節税が可能であるというわけです。

さてそろそろ本題に入ることになります。平成18年度に新会社法の施行に伴い、税法においても改正があり、「実質的な一人会社オーナーの役員給与の給与所得控除部分の損金不算入制度」というものが導入されました(平成18年4月1日以後に開始する事業年度において適用)。これは対象となる役員の給与に対して左記で説明した給与所得控除額分を法人の所得に加算するというものであります(このことにより左記A・Bの所得の合計額は実質同じになります)。

具体的には「経営権を持って事業を行っている中心的な役員とその親族等が、その会社の発行済株式の90%以上を所有」し、かつ、「その職務に従事している役員の過半数を占める」場合には、実質的な一人会社とみなし、その役員に対して支払った給与に対する給与所得控除部分の金額をその法人の所得に加算するということです。例としては一人オーナーの会社や、オーナーが出資しその親族が取締役とし会社を運営している場合がそれに該当します。

また上記には適用除外の規定があり、@ 直前3年に開始する事業年度における(所得金額+該当するオーナー役員の給与額)の平均額が年800万円以下の場合、A 上記の平均額が年800万円超3,000万円以下であり、かつ、その平均額に占めるオーナー役員の給与額の割合が50%以下 である場合には、給与所得控除相当額の法人所得加算は行われないことになります。
一方、新規に設立した法人(新設法人)についてはその過去の事業年度が無いため、原則として適用除外の適用はない。ただし今後、新設法人については経過措置が取られる可能性もあります。

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