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個人事業者の資産の売却

事業所得や不動産所得のある個人事業者が資産を売却した場合、事業の収益(損失)と考えてしまいがちですが、実際にはその売却した資産により次のように所得の種類が分かれます。

商品・原材料などの棚卸資産 事業所得
10万円未満の減価償却資産 事業所得
一括償却資産 事業所得
その他の減価償却資産 譲渡所得
土地及び建物等 譲渡所得
株式等 譲渡所得

上の表のうち事業所得については、売却収入は雑収入、売却損失は雑損失として計上すればよいでしょう。その他の減価償却資産に係わる譲渡所得については、たとえば事業上で使用している車輛などの売却が考えられると思います。これらの資産の売却は総合課税の譲渡所得となり、その譲渡所得の金額は、売却した金額から購入した代金、取得費用などを控除した金額となります。ただし減価償却を行っている事業資産の場合には、売却時点の帳簿価額が控除する金額となります。また総合課税の譲渡所得の計算には50万円の特別控除がありますから、譲渡所得金額が50万円以下であれば譲渡所得は0円となります。一方譲渡所得金額自体がマイナスの場合には、事業所得や不動産所得と損益通算を行うことができます。

その年に短期と長期の譲渡所得があり共に譲渡益がある場合には、先に短期の譲渡益から特別控除額50万円を差し引きますが、控除しきれない場合は長期の譲渡益から控除します。その譲渡益が50万円以下の場合はその金額が限度となります。また短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。

その他の減価償却資産の中には、「少額減価償却資産の特例」を受けた資産も該当しますが、その場合の帳簿価額は事業上ですでに全額経費としているはずですので、売却時の帳簿価額は0円として譲渡所得の計算を行ないます。

土地及び建物等や株式の譲渡については分離課税の譲渡所得となり、その計算方法や税率も分けて計算を行うことになります。また譲渡損失が出た場合でも他の所得のプラス部分と損益通算はできませんし、繰越することもできません。土地及び建物等については譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものは長期譲渡、5年以下のものは短期譲渡となり、その税率は長期譲渡が15%(+住民税5%)、短期譲渡が30%(+住民税9%)です。また総合課税のような特別控除50万円はありませんが、マイホームを売却した場合にはその要件により特別控除や軽減税率が使えることもあります。

家具や通勤用の自動車、家電などの通常生活に必要な生活用動産を売却した場合には譲渡所得としては課税されません。一方貴金属や宝石・書画・骨董品等通常生活に必要のない資産を売却した場合で、その各売却価額が30万円を超える場合には譲渡所得として申告をする必要があります。

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