パートという選択
景気が回復するにつれ徐々に売上が伸び始めてくると、人手を補充する必要が出てくる。しかし人を新しく雇用するとなると、人件費の支出や社会保険料の負担、また雇用した人間の管理業務も発生する。一方即戦力になる人員を確保したいが、そんなに多額の給料は支払えないし、じっくりと手をかけて育てたのに突然辞めてしまわれても困る。経営者の悩みは尽きないものだ。そこでパート雇用という選択肢を考えてみることにする。
たとえば月曜から金曜の平日に勤務できる正社員1名を雇用したいとする。しかしあえてここで1名の正社員に代えて3名のパートを雇うという選択をしてみる。1名ができる仕事を3名で分担(共有)してみるという考え方だ。そこで募集時には次の条件を考慮してみる。
1. 募集職種の専門家である必要は無いが、経験者または職種に意欲を持っている人
2. 固定曜日勤務希望の人は除く
3. 扶養親族の範囲内にいる人、もしくはフルタイムでなくてもよい人
これらの条件で募集をかけ、面接をして3名の人を選ぶことにする。この場合も上記の3条件の確認はしっかりとしておく。
採用が決まったらはじめに仕事を覚えてもらうことになる。もともと1名でやる仕事を3名でやってもらうので、最初のうちは仕事を教える側は通常より時間と労力を要することになるが、例えば最初の1週間は研修期間として3名同時に勤務してもらうことで、各人に同じ仕事の説明をする手間を省くことはできる。また「条件1」により経験者もしくは仕事に意欲を持っている人なので比較的指導しやすいであろう。次にパートの3名にどういうシフトで働いてもらうかであるが、これについては各々の勤務希望日を公開し、パート内で話し合いながら決めていってもらうようにする。こうすることにより雇う側の労務管理の手間を省けるし、またパートの急な欠勤についても他のパートがフォローしてくれる可能性が高くなる。各人の仕事の引き継ぎについては作業日報を作成すればスムーズにいくし、管理する側も仕事内容のチェックが可能になる。また「条件2・3」によりパート内で自分の勤務時間を調整するという働きも出てくるである。ある程度の管理は必要にはなるが、事業者側の負担の軽減とパート側の勤務日の調整のし易さにおいてメリットが生じる。
さらに社会保険についても年間の給与額が抑えられることにより会社負担の義務は必要なくなる(年間の収入が130万円未満かつ配偶者の収入の1/2未満)。
加えて突然1人のパートが退職した場合においても、残ったパートの補完により、仕事がストップしてしまうことはないし、担当者が新しいパートにつきっきりですべて一から仕事を教えるという状況は回避できるはずである。
新しく雇用を考える場合には慎重になりつつも、柔軟な姿勢で対応していくことにより、良い人材に長く働いてもらう可能性も高くなるように思う。たかが雇用、されど雇用である。

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