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配偶者控除の見直しを考える

政府は、女性の勤労意欲の下をまねき、就業時間等拡大や社会進出の妨げになっているという理由から、配偶者控除の見直しを検討しています。現在の制度では妻の給与収入が103万円以下であるとき、夫は38万円の配偶者控除を受けられます。また妻本人についても所得税はかかりません。妻が労働時間を増やして収入を増やそうとしてもこの配偶者控除が足かせとなって、勤務時間を調整している例があるということです。だからこの制度を廃止して、もっと自由に女性が働ける環境を作ろうという提案らしいです。

たしかに中小企業で働いているパートさんの年間収入の調整のために、会社が時間超過分の支払いを肩代わりするという話も聞いたことがありますので、一理はあると思います。しかし次の2点の理由から単なる廃止は時期尚早だと思われます。

〇理由その1
女性のうち配偶者控除を廃止することで恩恵を受けない人の割合が多いことです。具体的には、
・単身者の人
・すでにバリバリ働いている人
・育児と家事などからある程度しか働けない人

〇理由その2
社会的弱者等への負担軽減目的の控除がなくなると税負担が増えてしまう。

これは冒頭で述べました、夫の配偶者控除分の税額のアップだけの話ではありません。妻の収入が130万円を超えますと、妻自身が社会保険に加入する必要がでてきます。また現在は収入が少ない妻の場合、夫の社会保険の第3号被保険者になれますが、その制度自体も変更される可能性がでてくると思います。

過去からの経緯で考えると、子ども手当制度の創設で、16歳未満の子どもを持つ扶養者の扶養控除がなくなりましたが、子ども手当自体は当初の金額よりもかなり減額となりました。さらに平成27年からは相続税についても、税額の負担が増える人がかなり多くなると予想されます。消費税は段階的増税の最中で、小規模事業者については今年4月以降の倒産件数が増加しているとのことです。消費税増税の影響は中小企業にとって予想以上に大きく、おそらく平成28年までには経営を断念する企業が増えるように思われます。そのような中、配偶者の控除まで廃止されると、国民の生活はさらに厳しくなるでしょう。

現在の政府の政策は、一面だけを見てその他の検証を十分しないまま決定してしまう傾向にあるように思います。配偶者控除が専業主婦に認められた優遇措置であったとしても、その中でやり繰りをしつつ生活してきたのは事実です。配偶者控除の廃止が、少子化に伴う労働人口の減少に歯止めをかけるものだとしても、負担する税額が増えるだけの人の割合もかなり多くなるでしょう。

見直しのための提案としては、一世帯を基本とする控除への代替案や世帯の収入を基本とした税額計算案なども出てきており、きちんと議論と検証をした上で物事を進めてほしいと感じています。また単に税負担が増えると思われる子育て世帯への対応についても、しっかりと考えてほしいと願っています。

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