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決算賞与を考える !!

思っていたより当期の事業成績がよく、その利益を従業員に還元したいと思っている社長さまもおられると思います。また税金を払うくらいなら決算賞与として支給しようと考えている社長さまも。利益→税金という考え方もありますが、利益=現金ではありませんので、会社のキャッシュについても検討した上で決算賞与をどれくらい出すのか決めなければならないでしょう。

◇支給要件
使用人賞与の損金算入時期については、法人税法施行令という法律の中で決められており、原則としては、決算賞与の支給予定日の到来日もしくはその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度が損金算入日になります。また次の3つの要件を満たす場合には、使用人に賞与の支給額の通知をした日の属する事業年度を損金算入日としてもよいことになっています。

1.決算日までに決算賞与の支給額を受給者全員に対して通知をしていること
2.決算日の後1ヶ月以内に受給者全員に決算賞与を支給していること
3.決算で損金処理(未払賞与として費用計上)していること

「1」については口頭ではなく、決算日までに賞与支給通知書などを作成して従業員全員に通知をしていることが必要になります。「2」については決算日後1ヶ月以内に賞与を支払ったことを証明するために、銀行振込などを用いて履歴を残しておくとよいでしょう。通知をした従業員がその翌月に退職し賞与を支払わなかった場合には、決算賞与全額が損金に算入できなくなりますので、注意する必要があります。

◇会社のキャッシュ
決算賞与を支払った分だけ法人税も当初の金額より減ることになりますが、会社のキャッシュという観点で見た場合はどうなるでしょうか。

利益の金額が約2,000万円で、中小法人税率が37%、社会保険料率が全体で29.4%として簡単にシミュレーションしてみましょう。まずは決算賞与1,000万円の支給をしない場合には、その決算賞与分1,000万円に対して約370万円の法人税がかかりますので、その1,000万円に対して残る現金は1,000万円−370万円=630万円となります。

一方1,000万円を決算賞与として支給した場合には、社会保険の会社負担分147万円が新たに発生し、その分法人税は社会保険料の会社負担分に対して約54万円減少しますので、残る現金は1,000万円−1,000万円−147万円+54万円となり93万円の持ち出しとなります。もちろん社員の士気を高めるための決算賞与ですから有意義に使いたいところですが、会社の懐を考えずに支払う税金ばかりに目がいってしまうとあとあと資金繰りに影響が出てしまいます。会社に利益が出たときには、社員のことも考え、また会社としても存続していけるように決算賞与額についてもよく考える必要があるでしょう。

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