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中小企業の社会保険加入

中小企業は小資本・少ない人員で会社を運営しており、家族中心の小会社も数多く存在していることから、大企業とは違いアイデアと節約と隙間(ニッチ)の中でなんとか利益を捻出していっているのではないでしょうか。
ところで社会保険については、健康保険法第3条及び厚生年金保険法第6条により、常時、従業員を使用する法人の事業所は社会保険に強制加入をすることになっています。つまり役員でも従業員でも給与の支払いがある場合には社会保険に加入することが強制されるということです。

けれども中小零細企業については法人でありながら社会保険に加入していない会社も数多く存在し、ここ数年それらの会社に対して年金事務所から「厚生年金保険・健康保険の加入状況について」などの社会保険の自主的な届出を促す文書や来所通知が届いたりしており、社会保険未加入の企業に対する督促がますます厳しくなっているのが現状だと思われます。

平成29年4月分からの社会保険料率(大阪府)は、40歳以上の介護保険に該当する健康保険料率が11.78%、一般の厚生年金保険料率が18.182%で合計約30%となっています。具体例として標準報酬月額30万円の人は、健康保険料35,340円、厚生年金保険料54,546円の合計89,886円となり、従業員が3名いた場合は269,658円となります。これを労使で折半をするとひと月の会社の負担額は134,829円となり、従業員も同額を負担することになります。

このような状況の中、社会保険に未加入の会社で、加入しようかどうか迷っているところも多いのではないでしょうか。現時点では年金事務所から書面という形で文書が届いていますが、年金事務所の立入調査により未加入の事実が発覚した場合には、該当者の社会保険料を2年間遡って追徴される可能性が高くなります。ただその時期がいつ訪れるかはわかりませんし、調査が来ない可能性もあるかと思います。ただしここ数年の流れから社会保険に加入していない会社の特定はかなり進んでいると思われ、またマイナンバー制度の導入によって加入しなければならない役員や従業員の個別データについても把握されてきているように感じます。ゆえにどこかの時点でリスト化されたものをつきつけられて、過去分を支払ってくださいという督促が行われるのかもしれません。

もうひとつの問題は過去の追徴分については、会社の負担分に併せて従業員の分も支払わなければなりません。過去2年分を従業員から徴収できるかどうか、また退職した人の分についても支払う義務が生じてくることになります。

社会保険料だけでなく消費税も増加しつつある状態の中、中小企業の悲鳴が聞こえてきているのは肌で感じます。社会を円滑に回すためだとしても、いまの高い社会保険料率及び消費税率で計算された金額を支払うことはとても大変なことだと思います。支払わなければいけないものは仕方がないとして、その負担率についてもっと会社側も真剣に考え、中小企業の負担率が少なくなるような運動をしていくのが現実的な道だと思っています。また社会保険に加入したとしても、その支払ができなければ税金と同じように延滞金がついてきますので、社会保険料も税金の一部と捉え、会社の資金繰りがうまく回るように考えていくことが求められています。

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