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儲けと損失の検証

今回は製造原価や機会損失についてストーリー仕立てで考えてみることにする。

友人にケーキ屋さんがいる。ケーキの味はまぁまぁ良いのだけれど店の立地条件が良くないせいか売上げはいまひとつだと言うので、駅の近くにある私の家の前で友人から自慢のロールケーキを仕入れて販売することにした。そこでまずそのおいしさを多くのお客さんに知ってもらうためセールを企画してみた。

通常のロールケーキ1本の販売価格は840円、原価が560円、利益は280円である。そこで
・Aセール案-3本セットで1本あたり100円引き
・Bセール案-3本買うと半ロールをおまけ
の2案を考えてみた。A案の1本あたりの販売価格は740円で利益は180円、B案では販売価格が840×3=2,520円で、原価は560×3.5=1,960円となり、1本あたりの利益は(2,520−1,960)÷3.5=160円となる。つまり利益を考えるとA案のほうが得になりそうである。ところでロールケーキは1本ずつ箱詰めにしているがA案はさらに3本セットの箱が必要となり、その箱代が18円(1本にすると6円)必要になることがわかった。またそれぞれのセールについて1日40セットを売るとすればA案で120本、B案で140本のロールケーキが必要になり、B案で20本を多く発注することにより友人は1本あたり仕入原価を10円分安くしてくれるという。そこでもう1度1本あたりの利益を計算しなおすと、A案は174(180−6)円、B案は170(160+10)円となりその差額はわずか4円となった。発注の原価だけでなく、それを販売するのに最終的にかかる費用はいくらか、また発注量が変わると発注原価に影響するのかどうかなど、総合的な判断によりセールを企画すべきであることがわかった。今回の場合どちらの案も利益としてはほとんど変わらないので、購入するお客さんにとって100円引きと半ロールおまけのどちらにお得感があるかが、セールの勝敗を決めるカギになるであろう。

さて話は変わって友人の店のアルバイト店員がショートケーキ(売価200円、原価120円)5個を移動の際に落としてしまったとする。もし売れていたら200×5=1000円の損害だと彼は言っていたが果たしてそうなのだろうか。ケーキは早朝から作り始めその日に製造した分はその日の間に販売することにしており翌日には販売することは無い。また前述のとおり彼の店はお客の入りがいまひとつで、ショートケーキは1日20個製造することにしているが、クリスマスなどの特別な時期を除き完売することはほとんど無いらしい。するともしその日にショートケーキが1個以上売れ残ったとしたら、そのアルバイト店員が落とした5個分も売れていなかったことになり、客に販売できなかったことと同じになる。つまりアルバイト店員がショートケーキを落としてしまった実質の損害は無かったことになる。さらに言うと売れる個数以上のケーキの製造をした友人本人に責任があるのかもしれない。

取引はモノを仕入れ(製造し)て、販売し、代金を回収して初めて完了となるので、部分にとらわれず一連の流れを考えながら販売価格や仕入れ(製造)個数を決めていくことが必要になる。「忙しい」ことが必ずしも「儲かっている」につながるとは限らない理由がここにある。

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