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源泉徴収を怠ったときの損失

本来自分の所得や税金は自分で計算し確定申告をしなければならないことになっています(これを申告納税制度といいます)。しかし国民が一斉に確定申告を行うと税務署は対応しきれずにパンクしてしまうので、現制度では給与所得者について会社は給与の支払時に源泉所得税(以下「源泉税」と呼ぶ)を天引きし税務署に納税、年末には年末調整を行い従業員ひとりひとりの所得や税額計算を納税者に代わって行います。これを「源泉徴収制度」といい、会社は給与や退職金、配当や報酬・料金等の支払の際に所定の税額を計算して国に納めなければなりません。納付の期限は源泉徴収をした翌月10日が原則ですが、給与の支給人員が常時10人未満である場合は上半期と下半期の2回に分けて納付を行うこともできます(ただし「納期特例の申請」を届け出て承認受ける必要があります)。この特例の対象となるのは給与や退職所得、税理士・弁護士・司法書士など所定の相手に支払う報酬の場合であり、それ以外の原稿料や講演料などの報酬にかかる源泉所得税についてはこの特例の対象にはなりませんので、翌月10日までにその税金を納めなければなりません。またその場合に使用する納付書は「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」ですので注意が必要です。  それでは源泉徴収義務者である会社Aが給与から源泉税を差し引かないとどうなるのか考えてみましょう。たとえば今月のBさんの給与の額が30万円で源泉税が1万円とします。会社は給与として29万円をBさんに支払い、源泉税として預った1万円を税務署に納付することになります(便宜上住民税・社会保険料などは考慮していません)。ここで源泉税1万円を天引きせずにBさんに30万円を渡してしまったとしましょう。法律ではその源泉税についてはBさんでなく給与の支払者である会社Aに源泉税の徴収・納付義務があることになっていますので、会社AはBさんに1万円を返金してもらうか、または会社A自体が負担しなければならないことになります(会社が負担するとその支払総額は31万円となります)。

このようなことは謝礼金などを支払ったときにも生じます。たとえば研修会で講師を招き、講演料3万円・交通費1万円の合計4万円を支払ったとします。その際に交通費や宿泊費を負担した場合、前もって購入したチケットを渡したり、宿泊施設を会社側で手配し直接ホテル等に支払いを行った場合は源泉税の対象にはなりませんが、講師に金銭等を直接渡した場合にはその旅費分も含めて源泉税を計算することになっています。

つまり4万円に対する10%の4千円が源泉税となります。しかしその4千円を控除せずに講演者に4万円全額を渡してしまった場合には、その4万円は源泉徴収後の金額相当分の支払いとなってしまいますので、支払総額は4万円÷0.9=44,444円となり支払者は4,444円の源泉税分を納付する必要があります。

相手とのトラブルや余分な支出を避けるためにも、支払時には必ず源泉徴収をして納付することを忘れないようにしましょう。

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