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消費税の事業者免税点制度の変更

平成23年度の改正により消費税の事業者免税点制度の要件についての見直しが行われています。これまでの消費税の課税事業者の判定は基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかによっていましたが、今回の改正ではその要件に加え、特定期間(前年の上半期)の課税売上高が1,000万円を超える場合も免税事業者の対象から外れて課税事業者に該当することになりました。この改正の適用時期は法人の場合は平成24年10月1日以後に開始する事業年度からとなります。個人事業者の場合は平成25年12月期からの適用になりますが、基準期間となる平成23年1月1日から同年12月31日の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間である平成24年1月1日から同年6月30日までの間の課税売上高が1,000万円を超えていれば平成25年12月期の課税期間において課税事業者となってしまいます。

また資本金等の金額が1千万円以下の新設法人の場合、第1期(設立期)と第2期についてはその基準となる期間が存在しないため消費税の免税事業者となり申告の義務はありませんでしたが、第1期の事業年度開始から6ヵ月間(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超える場合には第2期は消費税の課税事業者となり消費税の申告を行わなければなりません。

なお現時点では特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるか否かの判断については、同期間中に支払った所得税法に規定する「支払明細書に記載すべき給与等の金額に相当するものの合計額」により判断をするという選択も可能となる方向です。これは、中小企業者等に対して消費税の納税義務者の判定のためだけに、中間決算と同じような実務的な処理を強いることは会社にとって負担が大きいこと、また特定期間において支払った給与の合計が1,000万円以上あれば、一般的に課税売上高が1,000万円以上である可能性が高いこと等がその理由のようです。どちらの規定を判定基準にできるかについては今後の法律の制定化を見守る必要があるでしょう。

もうひとつの消費税の改正は仕入税額控除の95%ルールの制限を設けたことです。従来課税売上割合[課税期間中の課税売上高(税抜)/課税期間中の総売上高(税抜)]が95%以上の場合に、課税仕入れ等に係る消費税額の全額を仕入れ税額控除の対象とすることになっていましたが、今回からその制度を適用するためにはその課税期間の課税売上高が5億円以下の事業者に限られることになりました。この法律は平成24年4月1日以後開始する課税期間から適用されることになります。つまり個人事業者の場合は平成25年12月期終了時から、法人事業者の場合は平成25年3月期以降に終了する事業年度から制度が適用されます。

課税売上高 課税売上割合 控除対象仕入税額
5億円超 課税売上割合に連動※
5億円以下 95%以上 全額控除
95%未満 課税売上割合に連動※

※個別対応方式又は一括比例配分方式による

いままでは消費税について中小企業者等も優遇される制度がありましたが、国の財政状況や一般企業との不公平感などから今後は優遇措置も少なくなり、大企業と同じ条件で申告を行うことになっていきそうです。

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