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役員報酬の決め方を考えてみよう

サラリーマン時代は自分の能力が適正に評価されて給料が支給されているかと疑問を抱いていた方も、自分がいざ社長という立場になってみると自分の役員報酬の額をどう決めてよいのか悩む場合が多いようです。役員報酬の決め方について絶対の法則性はありませんが、次の要素を組み合わせていけば適切な金額が見つかると思います。

1.自分の生活費で考えてみる
家族を含めた自身の1ヶ月分の生活費の金額を考えてみましょう。これにはローンや保険料の支払い、家賃や個人の貯蓄なども含みます。

2.会社の損益状況で考えてみる
毎月の試算表では利益が出ているでしょうか?役員報酬の額が多いため損益がマイナスになっているのであれば、持ち出しをしていたり銀行等の外部から調達した分を役員報酬に充てている可能性が大きいです。

3.同業他社と比較してみる
同規模・同業種の人と比べてみて自分の役員報酬の額が適正かどうか比較してみましょう。またサラリーマン時代のように自分の能力が適正に報酬額に反映されているかも考えてみてください。

4.法人税と所得税の比較で考えてみる
同族会社の経営者にとっては会社の税金も個人にかかる税金も負担の原資は同じです。役員報酬の額の決め方で会社と個人で支払う税金の合計額が少なくなるようにします。(注)

これら4つが役員報酬の額を考える場合の基本となります。その上でもうひとつ別の視点から見ていきましょう。右の図を見てください。利益とは収入から経費を差し引いたものですが利益と同じだけの現金預金が会社に残っているわけではありません。それは収入や経費が発生主義により計上されるため、実際に現金化されるまでには時間の差が生じるからです。また役員報酬は労働としての対価部分ではありませんので、役員報酬を支払う前の実際の儲けは(利益+減価償却費+役員報酬)となっていたはずです。この儲けの部分から「税金分」「投資分」「借入返済分」「配当分」を差し引いて残った部分が会社として無理なく役員報酬として支出できる額になります。これに前記の1から4の要素を考慮していただくと会社としてかなり適正な役員報酬の額が導き出されるはずですが、実際ここまで深く役員報酬の算定を行っている会社は少ないようです。

会社の決算は1年単位で行われますが事業活動は常に継続して進んでいます。会社の存続や繁栄、もしくは急な事態に備える意味でも「投資=毎期の剰余金の積立」は不可欠になるでしょう。この算定により役員報酬額が少なくなる場合には会社の売上や利益率の向上をまず考えるべきです。2でも書きましたが借入金により役員報酬を補うことのないように気をつけなければなりません。

(注)法人と個人の税金の比較のためには事業税、住民税、社会保険料、国民健康保険料などもその要素として考える必要があるでしょう。また役員報酬金額が1,500万円以上の場合には給与所得控除にも制限があり、法人税法上の決まりごともありますので、報酬額の決定については慎重に行っていただきたいと思います

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