小規模宅地の特例(居住)を再確認
平成24年度の税制改正では見送られてしまいましたが、近い将来相続税の改正によりその基礎控除の額が減額されることはほぼ間違いがないようです。相続財産に自宅の土地建物が含まれる割合が多いことを考慮すると、平成22年に改正が行われた「小規模宅地等の特例の縮小」がポイントになってきます。
小規模宅地の特例とは、個人が相続等により取得した財産のうち、その相続の開始直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地のうち、一定の選択をしたもので面積が240uまでの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額するというものです。この特例について平成22年度の改正により次の事柄が変更になりました。
@この適用を受けられる対象者は?
a.被相続人が居住していた宅地を相続
取得者 | 取得者ごとの要件 |
被相続人の配偶者 | 居住や保有の要件は特になし |
被相続人と同居していた親族 | 相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人 |
被相続人と同居していない親族 | 相続開始直前に配偶者かつ同居親族がいない場合で、相続開始前3年以内に自宅を有しない親族が相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人 |
b.被相続人と生計を一にする親族が居住していた宅地を相続
取得者 | 取得者ごとの要件 |
被相続人の配偶者 | 居住や保有の要件は特になし |
その宅地に居住していた生計を一にする親族 | 相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人 |
Aこの適用を受けられる土地と割合は?
相続する土地 | 土地の相続税評価と対象者 |
自宅の土地 | 240uまで80%減(@の対象者) |
自宅兼その他用途の土地 | 240uまで自宅部分の土地は 80%減 その他の用途部分は 条件により判断する(@の対象者又は親族) |
貸付事業用宅地等 | 200uまで50%減(親族) |
○具体例
被相続人の自宅の敷地240u(課税価格8,000万円)を同居していた配偶者と同居していない長男が50%ずつ共有名義で相続した場合
・配偶者分
→評価減額=8,000万円×50%×80% =3,200万円
・長男分
→持ち家があり生計が一でないので評価減額なし
ゆえに自宅敷地の評価額は8,000万円−3,200万円で4,800万円となります。
これらの改正により各取得者ごとの適用要件が評価減額の判断となったため、被相続人の宅地には小規模宅地の特例が適用できず、改正前よりその課税価額が増加してしまう事例が増えることにとなりそうです。
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