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税務情報

平成23年度の個人の税務調査結果

先月国税庁から平成23年度の個人の所得税及び消費税に対する税務調査の状況の公表がありました。時代を反映してか平成20年度までは上位に必ず入っていた貸金業や病院は順位を落とし、業種目別申告漏れ所得額の今回の順位ではキャバレー、風俗業、情報サービス業がトップ3に、そして平成21年度以降は金属類の価格高騰のせいか、くず金卸売業が5位以内に入っています。また平成23年度は震災の影響から実地調査の件数が減少した反面、富裕層や海外取引者への調査の割合が高まっているようです。

業種目別申告漏れ所得額が1位・2位のキャバレーと風俗業は申告自体行っていないケースが多く見られます。その理由はお客さんが不特定多数であること、現金商売であることなどからその裏付けが難しく、領収書など証拠となる書類を出さないため「無申告でも大丈夫かも?」という心理が働いてしまうのかもしれません。またパソコンのデータを消去するなどして事実の隠蔽をしたり、儲けた資金については親族や知人名の預金口座に分散するなどの巧妙な手口も見受けられます。

3位の情報サービス業は、幅広く行われているインターネットを利用して行われる株式・商品先物取引又は外国為替等のネットトレード取引、ネット通販やネットオークションのほか、ホームページや電子メール・検索エンジンの検索結果画面等を利用して行われるネット広告、インターネットを利用して行われる電子化された音楽・静止画・動画・書籍・情報等のダウンロード取引や配信提供に係わるコンテンツ配信サービスなど、個人が容易に参入できるところが特徴です。また店舗等を構える必要がない上に取引先が個人対象であることが多く、その足取りもつかみにくいところが脱税を誘発してしまうのかもしれません。

第4位の水産養殖業については、比較的品物の単価が高く、販売ルートがある程度確立されていることがその特徴です。具体的には鮎や牡蠣など高級魚の養殖などがあてはまるでしょう。

第5位はくず金卸売業。鉄・銅・真鍮・アルミなどの買い取りを行っている個人事業者などで、小口売上及び現金売上の除外や仕入れを水増しする方法などで申告所得を圧縮しているケースが多いようです。

長引く経済不況のため節約志向になるのは仕方がありませんが、申告自体も節約をしてしまうと後々大きな代償を背負うことになってしまいます。

国税庁は今後も有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など、いわゆる「富裕層」に対しての調査を強める姿勢です。また個人でも比較的容易に始められるネットによる取引についても、相手先が個人であること、無店舗で行えることから、国税サイドがその実態を把握することは困難でありますが、無申告率が非常に高いこともあり、今後もあらゆる資料情報を収集・分析し、積極的に調査を実施する方向です。

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