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棚卸資産の計上は慎重に

決算の時期になると経営者の皆さんは今期の「利益」や「税金」がいくらになるのか気になってくると思います。純粋に今期の営業成績はどうだったのか?と考える場合もあれば、融資を受けている銀行への決算書の提出のための場合もあります。経営者の感覚と決算書の数字がリンクしていればよいのですが、当期は経営がかんばしくなかったのになぜこんなに利益が出ているのかなとのケースもときどき見られます。傾向として経営者はお金を基準に考えてしまいがちですが、お金と利益の間には隔たりがありますので、そこは決算書を用いて詳しく説明をすることになります。

ところで決算の数字が思惑と違う時に、棚卸資産(在庫)を用いて調整を行ってはいないでしょうか。確かに棚卸の計算は自社の数字でありますし、消費税の計算にも直接影響を及ぼさないことから安易に利用してしまいがちです。でもそのことは税務署も承知しており、税務調査における必須の指摘項目となっていますので、棚卸の計上については次のことに気をつけながら進めていくとよいでしょう。

○実地棚卸の記録
中小企業では日々の経理の煩雑さを考慮して、棚卸の計算については期末に実地棚卸を行い、その数字を用いているところが多いと思われます。そのときの原始記録が期末棚卸に反映されているかどうかは必ずチェックが行われますので、棚卸表にはその棚卸品の「名称」「単価」「個数」「計上の日」を記載し、最終仕入原価法を用いている場合にはその計算方法も確認をしておくとよいでしょう。

○会社の外部に在庫がある場合
離れた倉庫や仕入れ先に商品を預けている場合にはその部分についても棚卸として計上をしなければなりません。会社の外部に棚卸があると手許に商品がないために計上するのを忘れてしまうことがしばしば見受けられます。また倉庫等で保管を依頼しているときは、その利用記録などを備え付けておく必要があります。

○目視での確認
調査官は在庫一覧をもとに商品自体やその保管状況、商品受払の手続きや長期滞留在庫の有無も含めて聞き取りを行います。棚卸表に記載された商品が税務調査時にすべて売れてしまっているとは限りませんので、どこにどの商品があるのか把握しておかなければなりません 。

○仕入伝票と売上伝票の照合
また調査官は、決算日前後2ヵ月位の仕入伝票と売上伝票から、期末日の棚卸表に在庫が適正に計上されているか確認を行います。仕入れた商品が期末日までに売られてなければ、未着品も含めて棚卸として計上されているはずです。加えて決算の後に仕入れた商品が棚卸表に計上されていないかどうかのチェックも行います。この段階で架空売上があればそれも発覚する可能性があります。

前述のとおり、棚卸の計算は自社で行うため、その過程については必ずチェックされる項目になります。細かいところでは、引取に係る運賃、保険料、手数料を棚卸資産の取得原価に含めなかったことや、評価損や廃棄損を行った棚卸資産の有無や評価時期についても検証が行われます。過少や過大に計上して利益調整の手段になることが多いですが、その分税務調査官の指摘項目になりやすいので、適正な在庫の計上を心がけるようにしましょう。

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