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銀行が貸したくない会社

関西には「会社は借金をしてなんぼ」と考えていて借入をすることにあまり抵抗を感じない社長さんもいるように思います。借入をする理由は、新たな事業展開のため、経営拡大のため、返済の実績をつくるためなど、会社によって異なります。しかし会社としては、毎期の経営状況に関わらず経費にならない借入元本を返済していく「負債」と支払利息を支払う義務を背負うことになり、この先事業収入や利益の拡大を見込めなければ、常に借り続けないと会社が回らない状況に陥ってしまうということをきちんと認識している社長さんも少ないように思います。

銀行は、金貸し業として利息により収入を得ることが目的であり、返済期間中に元本と利息の返済が滞ることなく行われることを一番求めているはずです。今回は銀行の立場としてお金を貸したくない会社について考えてみます。

銀行がお金を貸すときに知りたい情報には大きく分けて「過去の状況」「現在の状況」「今後の状況」の3つがあります。過去と現在については会社資料のひとつである決算書が判断基準となり、今後については事業計画書という形で銀行に資料を提示することになります。

決算書にはまず資産から負債を引いた資本の部があり、その資本の部は資本金と設立期から積み上げられた剰余金の累計額により構成されています。この資本の部が大きいほど会社の信用は高くなり、逆に資産より負債の方が多い債務超過状態になると、銀行からの信用が低くなります。一般的に自己資本率が40%を超えると倒産リスクの少ない会社だとみられるようです。

貸借対照表の中に代表者への貸付金がある場合には、会社のお金が代表者個人に流れているという見方ができますので、銀行の評価は下がってしまいます。また仮払金や仮受金、立替金、毎期同じ金額が計上されている科目などは、会社内に使途不明金があるということですので、これもよくはありません。抵当に入っている不動産や処分が困難な固定資産もいざというときには現金化ができませんので、数字上だけの資産と見られるでしょう。

損益計算書上でいうと利益の出ていない会社、税金を支払っていない会社は、借入金の返済する力が無いと思われますので、銀行としては貸したくない会社となります。決算書上の利益は出ていても、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローがの返済額を下回っていれば、銀行の評価も下がってしまうでしょう。

中小企業の場合は役員報酬の金額によって会社の利益が変動しますので、代表者への役員報酬が多いために利益が少なくなっていることは銀行もわかっていますが、会社でお金を借りるのなら会社も税金を支払うことを前提として役員報酬を設定することもひとつだと思います。

今後の設備投資や事業の拡大を理由として借入を行う場合は、具体的な事業計画書によりそのことを銀行に示す必要があります。売上や利益の増加については、その根拠となる具体的な数字を示し、実現可能性の高い数値目標でなければなりません。またそれに伴うコストの削減や原価調達先の選定、人の配置や顧客獲得の方法まで記載することが望ましいでしょう。

借入金の返済をしても借入前より現金が会社に残る経営が良い経営と言えます。借入はそのためのひとつの方法で、負債を背負うことにより、いままで以上の努力をしなければならないという強い思いが、会社を大きくしていくだと思います。

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