税務に関して

税務情報

在庫金額の計上について

お客さまの会社の決算日が近づくと、「期末時点の在庫金額をお知らせください」とお願いすることがあります。在庫とは文字どおり購入はしたけれど未使用のままの商品や貯蔵品のことを指しますが、業種によっては若干考えた方が異なります。今回はその在庫についてのお話です。

まず在庫の対象となるのはまだ売れていない商品や使用していない材料のほか、製作途中の仕掛品や半製品、未使用の印紙や切手なども貯蔵品として在庫に計上しなければなりません。

次にその評価方法について会計的には複数の方法があるのですが、価格に変動がないのであれば購入した金額で計上しても差し支えはありません。ただし独自の評価方法を使用する場合には毎年同じ評価方法により在庫金額の算定をしなければなりません。一方価格変動が大きく商品数も多い場合には会社の作業負担を考えると、期末に最も近い時期に取得したときの仕入単価を期末の棚卸資産の単価として評価する、最終仕入原価法が適していると思われます。スーパーなどで売価で商品を管理している場合には、期末の棚卸資産の通常販売予定価格の総額に原価率を掛け合わせて在庫総額を計算する売価還元法などもあります。また何個かで1セットとなっている商品については、それを開封した段階でそのセットを使用したと考えることもできます。

税務調査においては必ずといっていいほど在庫について調べられます。指摘が多いのは切手、印紙、商品券などの計上漏れの他、伝票上は仕入れたことになっているけれど、出荷(売上)がまだであるものの在庫計上。これについては実際品物が目の前にあるわけではありませんので、在庫の計上漏れの対象となりやすいです。加えて決算期末ギリギリに行った仕入も在庫として計上するのを忘れがちです。

それと費用収益対応の原則から考えますと、工事等の売上計上時期の原則は相手に完成した物件を引き渡した日となりますので、今期に仕入れや外注費が発生し、来期にその売上が計上される場合には今期の仕入れや外注費は仕掛品として経費から振り替える処理が必要になります。また工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度が明確な場合に用いられる工事進行基準を採用する場合でも、決算期にその進捗度合いに応じた売上を計上しなければなりません。

機械や建物については購入をすれば減価償却の対象になりますが、その償却の開始の日は購入日ではなく「事業のように供した日」になります。たとえば機械装置の場合には購入後に据え付けや試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が事業供用日であり、賃貸用物件の場合には、住居者の募集を始めた日が事業供用日ということになります。

まとめますと、費用収益の対応の原則より収入(売上)が発生しない場合のその原価は費用とならないと考えるとよいでしょう。このことを頭に置いておけば、だいたいの場合は間違いが防げるように思います。

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