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インボイスと家賃の支払

当初は少し理解しづらかった消費税のインボイス制度も大分世間に浸透してきたように思います。インボイス制度が始まる令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、原則として令和5年3月31日までに納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出することになっており、その期限が近づいてきたからかもしれません。インボイス発行事業者として登録番号の通知を受けた事業者は、請求書等に登録番号等を記載した上で請求先を発行することになりますが、毎月家賃の請求書や領収書を発行しない場合はどうなるのですかと質問を受けることがあります。今回は家賃とインボイスの関係を考えてみたいと思います。

まず家主側として、インボイスの登録が必要なのかどうかを考える必要があります。不動産の収入が住宅の家賃や土地の賃料など非課税である場合にはそもそも消費税は発生しませんので登録事業者になる必要はありません。また不動産収入が事務所や店舗などの課税収入であったとしても、その借主が免税事業者であり消費税の申告を行っていないのであれば登録事業者になる必要は無いと考えられます。家主側が現在免税事業者で課税収入があり、借主も課税事業者の場合には、インボイス制度開始後に家主がインボイス登録をしていない場合、借主が家主に支払う賃料のうち消費部分は仕入控除ができなくなりますから、家主側がインボイスの登録を行うのか、登録せずに借主の消費税負担増分の賃料減額を検討するのか当事者同士の話し合いで決めることになるでしょう。

家主がインボイスの登録事業者になり令和5年10月1日以降に新規に賃貸契約を結ぶときには、契約書に登録番号や取引金額を税率ごとに区分した合計額、税率ごとの消費税額などの必要事項を記載します。既存の借主については新しい契約書を再作成しなくても、上記の不足事項を借主に書面やメールで通知し、これを覚書とし当初作成した契約書と一緒に保存することでインボイスの要件を満たすことになります。加えて請求書や領収書を毎月発行せずに、振込や引き落としにより賃料を受け取っている場合には、振込の場合にはその振込票が、引き落としの場合にはその通帳への記載内容を保管しておくことで要件を満たすことになります。

令和5年10月1日のインボイス制度導入後は、「適格請求書(インボイス)」を発行してもらうことが消費税の仕入税額控除の新たな要件になりますので、そのための準備をきちんとしておくようにしましょう。

◆インボイスに必要な記載事項
①請求書等受領者の氏名又は名称
②取引年月日
③取引内容
④税抜(税込)取引金額を税率ごとに区分した
合計額
⑤税率ごとの消費税額
⑥適格請求書発行事業者の氏名又は名称
⑦登録番号

◆インボイス登録事業者以外の者からの課税仕入れについての経過措置
・令和5年10月1日から令和8年9月30日
 仕入税額相当額の80%をみなし控除
・令和8年10月1日から令和11年9月30日
 仕入税額相当額の50%をみなし控除

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