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かわる!生前贈与

相続税については数年前からその改正がささやかれてきましたが、令和4年12月に発表された「令和5年度税制改正大綱」によると令和6年以降の贈与から下記の変更が明らかになりました。

・暦年課税制度における生前贈与の相続財産への加算期間を3年から7年に延長
・相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除の創設

暦年課税制度とは受贈者1人あたりにつき、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税がかからない制度のことです。いままでは毎年暦年贈与を行っているときに相続が発生したときには、被相続人(亡くなった人)の相続開始前3年以内に行った贈与財産は、相続財産に含めることになっていました。この3年の期間が7年に延長されることになります。この法律は令和6年1月以降分より適用されるため、実際に影響が出るのは令和9年1月2日以降に発生した相続からになります。なお加算期間となった3年超7年以内の暦年贈与分については100万円を差し引いた金額を相続財産に加算することになっています。

相続時精算課税制度とは、原則60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫への生前贈与について、その贈与額が2,500万円に達するまでは贈与税がかからない贈与方法を子や孫の選択により利用できる制度です。2,500万円を超えた場合には一律20%の贈与税が課税されます。相続が発生した場合にはその生前贈与分を相続財産に合算する必要がありますが、贈与時に発生した税額については相続税額から控除されます。相続時精算課税制度を選択すると暦年課税制度は利用できなくなります。つまり現行では110万円の基礎控除額は使えませんでした。

今回の改正では相続時精算課税制度のおいても基礎控除額が創設され、年間110万円までの相続時精算課税贈与は、相続財産に加算されないこととなりました。また相続時精算課税制度の特別控除額2,500万円にこの基礎控除額は含まれないため、相続開始前7年以内であっても基礎控除額(年間110万円)までの相続時精算課税贈与分は相続財産に加算する必要はありません。

暦年課税制度や相続税精算課税制度はそれぞれにメリット・デメリットがあり、一律にどちらの方が良いかと言うことはできません。贈与する財産内容や贈与者の年齢、相続の発生の可能性などから総合的に判断するしかありません。また相続時精算課税制度を選択すると暦年課税制度は使えなくなりますので、相続時に加算される金額も計算しながら考えることになるでしょう。

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