これは修繕費になりますか
事業者はより多くの利益と現金を会社に残すことが使命ですが、そのためには会社の運営や維持も適切にしていかなくてはなりません。新しく事業用の建物や備品を購入した場合には固定資産として計上します。またすでに所有している建物や備品の修繕を行ったときには、それが資本的支出の場合には固定資産として計上しそれ以外の場合には修繕費として経理をすることになりますが、その基準を見ていきたいと思います。
ます資本的支出とは手直しすることにより「そのものの価値が上がる場合」や「使用できる年数が伸びる場合」になります。具体例としては、パーツごとに組み合わせるブロックキッチンをシステムキッチンにすることにより機能が上がる場合、建物の外壁塗装を行うときに耐久性が高いフッ素塗料を使用した場合、給湯器の入れ替え時にお湯を沸かす機能だけのものから追い炊きや湯はりができる機能付きのものに交換した場合などです。
一方修繕とは原状回復をする場合をいい、使用を問題の無い状態に戻す補修も含まれます。
上記のように資本的支出と修繕は異なるものですが、実際の経理処理においては修繕費なのか資本的支出になるのか判断がつきにくい場合もあると思います。そこでそれが明らかでない場合には税務上いくつかの判断基準が示されています。
・その修繕や改良の支出が20万円未満の場合には、少額又は周期の短い費用の支出として損金算入が認められています
・修繕や改良の周期がおおむね3年以内のものは、少額又は周期の短い費用の支出として損金算入が認められています
・その修繕や改良の支出が60万円未満でかつその改良資産の前期末取得価格の10%相当額以下の場合には損金算入が認められています
・また特例として、資本的支出と修繕費のどちらかがわからない場合の費用の30%相当額と前期末取得価格の10%相当額といずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出として継続的に経理を行う場合にはこれも認められることになります。
まとめますと、まずその支出が資本的支出になるのか修繕費になるのかを見極め、それにより経理処理を行います。どちらになるか判断がつかない場合には記載している内容で判断を行います。利益を抑えて税金を少なくするために、どうしても修繕費として経費計上したくなる場合もありますが、その支出の内容を考え適正に経理処理を行うことをお願いしたいと思います。
(※)前期末における取得価格とは、その固定資産の取得時の価額にその後追加で資本的支出があった場合にはその支出時の金額を合計した価額をいい、期末帳簿価格ではありません
(※)中小企業者に該当する青色申告を行う事業者が、取得価額が30万円未満である少額減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度にその取得価額をその年分の経費として算入(即時償却)することができます(少額減価償却資産の特例)この特例については令和8年3月31日まで2年間延長されています
← 一覧に戻る
※当ホームページはすべて税込で金額を表示しております