税務に関して

税務情報

役員に対する借入金・貸付金

親族や特殊な関係がある者だけで構成されている同族会社の場合、代表者と会社の間で比較的自由にお金の貸し借りがなされているようです。しかし会社と役員間のお金のやりとりについては税務上のトラブルも発生しやすいのでそのポイントを見ていきましょう。

◆会社が役員にお金を貸す場合

会社が役員にお金を貸す場合、金銭消費貸借契約書を作成し、返済期間や返済金額を決めて役員が確実に返済を履行するようにしなければなりません。また借入金に対する利息も適正に計上しなければなりません。通常の利率よりも低い利率でお金を貸し付けた場合、その役員が経済的利益を受けたものとみなされその差額については給与または賞与として所得税が課税されることになります。この場合会社上の経理は(借方)役員報酬(貸方)受取利息と処理されますが、この役員報酬は税務上過大役員報酬や役員賞与とみなされ損金不算入となる場合があります。適正な利率については、会社の借入金の平均調達金利または貸付を行った年の前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率に年4%の利率を加算した利率により計算されたものによることとなります。また会社から役員にお金を貸すときは取締役会の承認を受けておかなければなりません(取締役会を設置していない場合は株主総会)。そして万が一その役員への貸付金が回収できなくなったときは、全役員が連帯してその貸付金を返済しなければならないことになっています。役員への個人的な支出で本来役員賞与となるべきものを貸付金として処理していたり、相手先を明示できない使途秘匿金となるべきものを貸付金としていた場合も税務上否認される可能性があります。

◆会社が役員からお金を借りる場合

それでは会社が役員からお金を借りる場合はどうでしょうか?その場合も金銭消費貸借契約書を作成し返済方法について明確にする必要はありますが、利息については無利息であっても問題は生じません。それは役員に利息を支払わない分会社としては経済的利益を受けますが、その結果会社の利益増加を伴うので法人税法上の課税の不公平が生じないからです。ただし会社が役員にお金を貸す場合と同様適正な利率を計算し利息を支払っても構いません。その場合適正利率と比較して利率が高すぎる場合にはその差額分について前述と同様に役員に対する給与または賞与とされる可能性があります。役員が受け取った利息は雑所得とされ所得税の確定申告をしなければなりません。給与所得以外の所得が20万円以下のときは、原則確定申告は不要とされていますが、同族会社の役員がその同族会社から受け取る貸付金の利息や地代、家賃などについてはその合計金額が20万円以下であっても確定申告が必要とされていますので注意が必要です。会社の経営状態が非常に思わしくなく役員から借りたお金を返せない場合は、その借入金を免除してもらう方法もありますが、その債務免除を受けた金額は会社の収益として計上され利益が出れば法人税が課税されることになります。また役員が会社に貸したお金はその役員が死亡したときに役員の相続財産となり、その役員の相続税の対象となってしまいます。

会社の経営状況が大変だからと同族会社の代表者が会社にお金をつぎ込むことは仕方がないかもしれませんが、税務上のポイントをおさえて計画的に返済をすることも忘れてはいけません。

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