税務に関して

税務情報

税務調査手続きの明確化

平成23年度の税制改正については個人所得税から法人税、資産税に至るまで幅広く改正が行われる予定ですが、納税環境整備のひとつとして税務調査手続きの明確化があげられています。

○税務調査の事前通知
今後税務調査を行う場合には事前にその対象者(納税者本人、調書提出者及びその代理人、反面先)に対して文章により通知を行うことになります。通知内容は「調査の開始日時・場所」「調査の目的」「調査対象税目、課税期間」「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」などです。ただし正確な事実の把握を困難にするおそれまたは違法若しくは不当な行為を容易にしその発見を困難にするおそれのある場合は、事前通知無しに調査の手続きを進めることもあります。反面調査については、反面先には、調査対象者(納税者)の名称及び確認対象取引は通知しないことになっています。また、調査の対象者本人には通知しないことになっています。

○調査終了時の手続き
税務調査が終了する時の手続きについては、課税庁の納税者に対する説明責任を強化する観点から、「調査結果」及び「修正申告又は期限後申告を行った場合にはその部分について不服申立てができないこと」等を納税者に対し文章として交付を行います。また納税者から修正申告書又は期限後申告書の提出があった場合には、当該納税者に対し、当該調査が終了した旨の通知書を交付します。税務職員はこの終了した旨の通知書が交付された後においても、調査について必要があるときは、再調査ができることになっています。

○その他の関連項目の明確化
納税者から提出された物件の預かり・返還等に関する規定が整備されました。 事前通知の内容に「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」を明示し、税務職員が現行の「質問」「検査」に加え、調査の相手方に対し、帳簿書類その他の物件の「提示」「提出」を求めることができるようになりました。

税務調査といえば印象として一方的に税金を多く納めるようにいわれたり、担当する税務職員の裁量によって調査の内容が左右されることも多かったように思います。今回の税務調査手続きの明確化は調査内容や指摘項目を納税者に明らかにするという点において、納税者にとって有意義なことであると思います。一方税務署にすれば調査の内容や結果を文章としてまとめなければならないので税務調査の手続きをより厳格にすすめなければならなくなります。これにより小さな申告のミスでも税法上はダメということであれば指摘されますし、トータルの増差額(追徴される税額)がいくらだからこの点には目をつむっておくという納税者と税務署の交渉の余地もなくなってくるのではないかと思われます。

納税者が申告税額の減額を求めることができる「更生の請求」の期間が1年から5年に延長されます。併せて税務署側が増額更生のできる期間も3年から5年に延長されます。これにより納税者による修正申告・更生の請求の期間と税務署側による増額更生・減額更生の期間が全て一致することになります。同時に「税務調査は過去3年分」といわれていたものが過去5年分に遡って調査を行えるようになったということでもあります。今回の税務調査手続きの明確化が本当の意味で納税者にとって有用なものになればいいのですが。

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